
■実務上のリスク■
令和8年1月1日から改正行政書士法が施行されました。これにより、自動車販売店の「これは自動車本体の料金であって、車庫証明の代行手数料ではない。」等との主張が通らなくなりました。お客様が自動車販売店に支払った代金がいかなる名目であれ、実態として車庫証明の書類作成の労務に対する対価が含まれているとの判断に至った場合は、行政書士法第19条違反であることを条文上明らかにしています。 自動車販売実務において、一部の自動車販売店では常態化していると言われる車庫証明代行ではありますが、その法的位置けを行政書士法第19条の観点から判断すると、グレーというより明確に問題となる場面が少なくありません。行政書士の業務内容は、行政書士法第1条の3で「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類・・・を作成することを業とする。」と定められており、これについて同法第19条第1項では以下のとおり定められています。
【行政書士法第19条第1項】 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務を行うことができない。以下省略
そして、これに違反した場合は、同法第21条の2で「その違反をした者は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。」と、「お客様のために」と思いした行為であるにもかかわらず、「違法」と判断され、かなり厳しい処分が条文上定められています。また、「その行為をした者」ばかりではなく、同法第23条の3により「・・・その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して第21条の2の罰金刑を科する。」定められており、これはすなわち両罰規定であることから、もしこれらの罰則規定が科された場合、自動車販売店は計り知れないダメージを負うこととなります。
■車庫証明業務の法的な性質■
車庫証明は「自動車の保管場所の確保等に関する法律」を根拠とし作成し、警察署へ提出する書類です。したがって、車庫証明の申請書類は、行政書士法第1条の3の「官公署に提出する書類」であることは明らかです。
■「報酬を得て」の判断■
自動車販売店でよくある形態として、「車庫証明はサービス」としながら車両価格に転嫁したり、車庫証明代行費用であることを明示せず「登録諸費用」の中に含める等としている場合が見られます。行政書士法第1条の3の「報酬」は名目を問いません。実質的な対価があれば足りると解されています。形式的には「無料」としながら、取引全体の料金に組み込まれていれば、同法同条に違反するという判断になります。したがって、自動車販売契約に付随して包括的に徴収している場合であっても、「車庫証明代行としての報酬」性を否定することは困難な場合が多いと考えられます。
■「業として」の解釈■
「業として」とは、反復継続の意思をもって行うことを意味します。よって、自動車販売店が「日常的に、顧客ごとに、組織的に」車庫証明の書類を作成している場合には、「業として」の要件は充足していると判断され、自動車販売実務ではほぼ該当します。
■「作成」と「提出」■
行政書士法第1条の3では「作成」することを行政書士の独占業務と規定されています。では、お客様が作成した車庫証明の書類を自動車販売店が警察署に「提出」することは行政書士法違反なのか、違反ではないのかとの判断になりますが、完成した車庫証明の書類提出は、行政書士ではない者が単なる使者として行う場合には行政書士法違反ではないと判断されています。「提出」は行政書士の独占業務ではなく、自動車販売店が使者として警察署に提出することは行政書士法違反ではありません。 しかし、「作成」の場面では、実務上、自動車販売店が日付等の記入補助の範囲を超えて(使者の範囲を超えて)作成している事例が多く見受けられます。これは行政書士法違反になり得ます。
■まとめ■
自動車販売店による車庫証明代行は、①官公署への提出書類の作成、②報酬制があり、③業務性もあることから、行政書士法第19条違反となるリスクが極めて高いです。
■車庫証明のご依頼■
東京都羽村市、福生市、青梅市、あきる野市、昭島市、瑞穂町、その他近隣の地域の自動車販売店様で、「車庫証明は行政書士に」とお考えの業者様がいらっしゃいましたら、どうぞ弊所をご利用ください。1件でも笑顔で対応させていただきます。



